「永遠の0」(百田尚樹著)の感想など

朝方、永遠の0を読み終えました。掛かった日数は通算すると2日くらいでしょうか。色々と考えたことを書いています。

出会い

初めて永遠の0を知ったのはmixiレビューでした。よく上がってきているので「何だろう?」と思いながらレビューを読み、買うことを決意。それからしばらく買うことはありませんでしたが、年明けに本屋に行った際に購入しました。買ってからもしばらくは読まなかったんですが、数日前に積み本を崩し終えて読み始めました。

読書後の第一印象

読み始めてすぐのプロローグで物語りに引き込まれた。第1章をさくっと読み終わりましたが、第2章で気分はげんなりしてしまいました。この先もこのような話を読み進めていくことになるのかと思うとあまり気持ちいいものではないなぁと。そう思いながらも読み進めていくことにしました。

感想

そこで本編の感想になります。その後はもう、一心不乱に読み続けました。少しずつ明らかになる全貌に背筋がぶるぶると震えます。多くのエピソードに心動かされ涙しましたが、特に印象に残ったのは文庫版p229 第5章 ガダルカナルのl5前後の件です。

「俺を墜としたパイロットを知っているのか」
「私の小隊長だ」
 彼は再び「おおっ!」と声を上げました。
「生きているのか」
「亡くなった」
「撃墜されたのか?」
「いや――カミカゼで亡くなった」
 その瞬間、彼は口をあんぐり開けました。そして独り言のように何かを呟きました。

読みながらポロポロと涙があふれてくるんです。こんな感覚は久しぶりです。二人の心境・心情を察し、その場にいない宮部さんの無念さを感じ、涙せずにはいられなかったのです。そのような感覚で随所随所に涙して読み進め、本編を最後まで読み終わりエピローグを読んだ時の気持ちよさは如何ともしがたい感覚です。すっきり感と言ってもいいでしょう。

今まで私は恋愛小説、特にヒロインが亡くなるようなものをよく読んでいました。泣きゲーもよくプレイしました。現在偏った読書暦を正すべく、また物の見方を広く持てるように多くのジャンルの小説を読んでいる最中です。それら恋愛小説の山場は亡くなる場面前後にあるように感じます。最初は恋愛に至るまで又は恋愛の模様を書き連ね、後半で人が亡くなり、そして終幕を迎える…。その一種の決まりきった定型文のような流れで進んでいくような気がします。

そうした経験から読み進めていった永遠の0は全てが山場なんです。常に涙がポロポロとこぼれていく…。ピーク時にしか泣く機会のない恋愛小説と違い、なぜか大半の文章を読みながら涙が…。その要因はやはり読者はプロローグから第1章により宮部さんが既に亡くなっていることを知っているからではないかと思います。亡くなった人の話、逸話を読むと不思議と涙が溢れてくる…それはやはり避け難い運命を知り、その物語の中に感情移入し入り込んでいく、そして宮部さんの素晴らしさを知っていくにしたがって「死なないで!」「死ぬな!」という感情を持つからではないでしょうか。そのような件はあとがきにも書いてありますね。

話は当時の軍部やマスコミ批判や、現在の官僚批判に話は拡大していきます。そのあたりの内容は特に言及しません。

歴史にifはないといいますが、物語の中でさえ浮かばれないもどかしさがたまりません。ぜひ手にする機会があるなら読んで欲しいと思い、珍しく一つの作品に対してこうして記事を書いた次第です。

考えたこと

読みながら、読み終わって多くのことを考えますが、その考えを上手く文章に起こすことができず非常にもどかしい思いをしています。

特に考えたのは自分自身の身の上です。私は今人を殺すかもしれない、もしくは自ら死を選ぶかもしれない仕事に就いています。正確には有事の際にはその身をもって事に臨む、要するに自衛官なわけです。現状として戦争となることはあまり考えられませんが、それが100%ありえないことではないのでこうして職を得ているわけです。

果たして私は当時の人々のように潔い生き様であることができるのか、いささか不安です。そのような状況に陥ることがないよう、ぜひともお上の方々には頑張ってもらいたいところです。そして自らの立場を自覚すべく、日々を謳歌しようと思いました。あまりにも人生は短い!

最後に

非常にグダグダになってしまいましたが、とりあえず読んでおいて損はないのではないかと思います。何事も読んでみないと感想を抱くこともできません。読まずに批判することは簡単ですが、やはり食わず嫌いで己の見識を狭めるのは自分にとってもマイナスであると考えます。読んでよかった!という後味を抱くことができるかは千差万別なのですが、実際に読んで「良かった!」と思えた側の人間として、おすすめします。

読みにくい駄文にお付き合いいただきありがとうございました。